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月経に関連する症状

月経不順(生理の周期がバラバラである)無月経(生理が来ない)

月経(生理)とは「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されています。月経のサイクルが25〜38日周期で、周期ごとのずれが6日以内であれば正常範囲内とされます。これに当てはまらない場合が月経不順や無月経などの月経周期異常となります。

無月経や月経不順となる主な原因として以下の可能性が挙げられます。

  • 妊娠(最初にこの可能性を否定する必要があります)
    極度の肥満や痩せ
    継続的な激しい運動
    多のう胞性卵巣症候群(PCOS; polycystic ovary syndrome)
    高プロラクチン血症
    ある種の薬剤(投与中の薬剤による影響・副作用)

以下の症状に当てはまる場合は受診が勧められます

  • 15歳を過ぎても生理が開始しない
    規則的に来ていた生理が3ヶ月以上経っても来ない
    月経の周期は6週間以上あく

原因検索のためには問診以外にも、必要があれば内診、経膣超音波検査、血液検査、さらにはごくまれにMRI(頭部)検査もおこないます。

治療・管理の方針は原因に応じて決めます。

月経過多(生理の量が多い)

下記のいずれかに当てはまる場合は、月経過多やそれに伴う貧血の状態である可能性があります。

  • ナプキンを1日に何回も替える必要がある
  • 月経血に大きな血の塊が混じることがある
    検診で貧血を指摘されたことがある

月経過多の原因として以下のものが可能性が挙げられますが、特に原因が見つからない場合もあります。

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜ポリープ
    内分泌的異常(卵巣機能不全、甲状腺機能異常など)
    ある種の薬剤(投与中の薬剤による影響・副作用)
    子宮悪性腫瘍(子宮頸がん、子宮体がんなど)

原因検索のためには問診以外にも、必要があれば内診、経膣超音波検査、血液検査、細胞診、子宮鏡検査(子宮ファイバースコピー)をおこないます。

治療・管理の方針は原因に応じて決めます。

月経困難症(生理痛がひどい)

月経困難症(ひどい生理痛)は、月経のある女性にしばしば認められるトラブルの一つです。特に初経(初めての生理)以降数年間は、生理痛がひどい女性が多いと言われています。
月経の痛みは、子宮を収縮させる作用のある”プロスタグランディン”(prostaglandin)という物質が関与しているとされています。プロスタグランディンは分娩の際の子宮収縮(陣痛)にも関与しており、月経中には強い痛みを引き起こす原因となります。この痛みが強すぎてひどい(生理痛がひどい)場合、月経困難症と呼ばれます。

月経開始前からあるいは月経開始とともに始まる、”ひどい”生理痛(下腹部痛・腰痛)が典型的な症状となります。
生理痛以外に、腰痛、吐き気、下痢、頭痛などが出現することもあります。

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症が月経困難症の原因となることがありますが、これらの病変を認めない(原因がない)ことの方が多いとされます。

まず、問診、内診、経膣超音波をおこない、月経困難症の原因となりうる器質的疾患の有無を検索します。
思春期年齢の女性に関しては、月経困難症の原因が子宮筋腫など器質的疾患である可能性が低いので、通常は内診と経膣超音波を省略しています。
内診、経膣超音波で器質的疾患が指摘された場合、さらに子宮鏡、MRIなど追加で検査することがあります。

月経困難症に対する治療方法として、各種薬物療法(鎮痛剤、低用量ピル、IUD)の他に手術療法もあります。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群(premenstrual syndrome; PMS)は月経前緊張症と呼ばれることもあり、月経約1週間前から続く精神的あるいは身体的な症状で、月経が開始すると、出現した症状が和らいだり消失したりするものをさします。月経前症候群(PMS)の症状が特にひどい場合は、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder; PMDD)と呼ばれますが、月経前症候群と比べて発生頻度は低いとされます。

代表的な症状としては、イライラする、不安が強くなる、気力がなくなる、集中力が低下する、鬱状態になるなどの精神的症状や、下腹部が張る・痛む、乳房が張る・痛む、便秘になるなどの身体的症状とがあります。これらの症状が、少なくとも2〜3ヶ月以上の期間にわたり月経の時期に合わせて出現したり和らいだりするのが特徴です。

月経前症候群を診断するための血液検査のような検査は基本的にありません。医師との問診で診断することになります。

月経前後に上記に挙げたような症状があっても、程度が軽かったり、日常生活に支障がなかったりする場合には必ずしも治療は必要となりません。職場や学校、家族や友人などとうまくやっていけないなど、症状がひどく日常生活に支障が出るような場合には治療することをお勧めします。

定期的に軽い運動をする(ウォーキング、ヨガなど)、塩分や食べ過ぎを避けるなど日常生活を改善するだけで症状が緩和することもあります。それでも改善がない場合は、漢方療法、ピルなどの薬物療法があります。